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M銀行は監査体制が非常にしっかりしていましたね。
平成2年のときの数字で、だいぶ古くて申しわけないのですけれど、約500名の東京の社員に対し監査人がxx名ほどいましたね。
そしてxx名のうち外国人が5、6名でした。
邦銀の例えばニューヨーク支店にそんな比率で監査人がいるかというと、決してそんなことないですね。
1985年のM銀行に入社したとき、外国人の監査部のメンバーが東京に駐在しているのを知ったのは邦銀から移ったばかりの私にとっては、けっこうカルチャーショックでしたね。
それから「1年に1回2週間連続して休みを取らなくてはいけない」という米中央銀行(FRB) の規制は、うれしいカルチャーショックでしたね。
昔はほぼ全員に適用されていたのが最近は少し緩くなって、フロントオフィスの連中は必ず取らなくてはいけないことに変わりました。
これは二つ理由があります。
一つはきちんとした休みがないと人材が流出しちゃう。
しかし一番大きい理由というのは不正防止です。
「2週間続けて会社にこないと不正は続けられない」ということで「きちんと2週間休め」ということになっていました。
それから例えば「一つの飛行機にはジングディレクターは4人以上、一緒に乗っちゃいけない」とか、「どこそこの飛行機は危ないぞ」という航空会社の危険度ランキングというのが定期的に回ってきて出張のときに参考にしていましたね。
それから教育にxx億円かけていました。
職員1人当たりの時間の7%を教育にかけていたのです。
ハイジャックをきちんと防止出来る体制になっているかどうかなどを気にしていたようです。
コンティンジェンシープラン(緊急時対応プラン)も充実していました。
数年前のFRB定期検査の最重要事項というのはコンティンジエンシープランが整備されているか否かでした。
M銀行の東京では3、4人が2年くらいのプロジェクト専任チームを作り、いろんなことを検討しました。
入っているピルが火災になった場合とか、東京大地震がきちゃった場合とか、レーションをやった。
連絡網をつくって、それがきちんとワークするかをチェックする。
シニアの連中には発電機とか、航空電話、要するにサテライトに飛ばす国際電話ですね。
これまで非常用に持たせるということまでやっていました。
これをあるときお役所に話したら、日本の役所には、「ほとんどバックアップ体制が出来ていないのにM銀行はすごいですね」と驚かれました。
日本のお役所のコンピューターバックアップ体制というのは例えば東京の霞が関のバックアップシステムが板橋区にあるとかね。
どこだか知りませんけど。
ほとんど離れていないようなところで、地震が来れば一緒に壊れてしまうようなところにあるというお話でした。
正確でないかもしれませんが。
M銀行の場合には茨城の方に、ディーリングルームを含めて最低限の人数ですけれど、そのまま移れるような体制になっていました。
私などはすぐシンガポールに飛ぶことになっていたんです。
ただこれはちょっと余談ですけど、私、「シンガポールにただちに飛べ」なんて言われても「家族の方が心配だからそんな事態が来たら会社辞めちゃおうかな」と思っていましたけどね(笑)。
「東京が混乱しているときに家族を置いてシンガポールに一人で行けるのかな?」と思ったのは事実ですね。
次の電算システムリスク。
これは特に今、私が言うことはありません。
経験したとおり、そういうリスクもあります。
M銀行で皆さん。
次がセトルメントリスク。
これは講義のときにもう出ましたよね。
ある銀行がxx億円損した話ですね。
、ドル買い、円売りをした。
円を渡したのだけれど、ドルを受け取る前に向こうの銀行がつぶれちゃった。
要は同じ日、例えば7月に決済するにしても、日本は昼間でもニューヨークはまだ夜があけていない。
まだ7月9日である。
7月4日に円を払ったんだけれども、ニューヨーク時間はまだ7月9日でドルを受け取っていない。
そういう状態で先方がつぶれちゃうリスクです。
次に信用リスク。
以前私がMS銀行のときに資金為替部に配属になって、一番最初にたくさんやっていたのは金利裁定だったという話をしました。
東京マーケットでドル預金をとって、シンガポールマーケットで貸す。
なぜかというと東京マーケットとシンガポールマーケットの、ドル預金金利に差があったからです。
例えば6カ月金利が東京マーケットで5%、シンガポールマーケットで5と4分の1%だとすると、私はTM銀行の東京の本店から6カ月のお金を5%でとって、例えばMS銀行のシンガポール支庄に5と4分の1%で貸す。
こういうことが国際電話があって、かつ英語がしゃぺれると出来ちゃったわけですね。
4分の1%の利ざやがリスクフリーで稼げた、非常に大きくやっていましたね。
こういうことがなぜ出来たかというと、まず一つはマーケットが成熟しておらず裁定するチャンスが多くあったから。
そして第2に邦銀はリターン・オン・アセットをほとんど気にしなかったからです。
TS社に対しMさんが「資金を効率的にうまく利用していないんじゃないか」と抗議していましたね。
欧米社会では資金を効率よく使っているか否かは重大問題です。
私が邦銀でやっていたような金利裁定ピジネス。
すなわちバランスシートを非常に大きく膨らませながら4分のl%という薄利を追求するピジネスというのは米銀では出来ないのです。
このような金利裁定ビジネスが出来た3番目の理由は、クレジットリスクに対する危機感がなかったから、でしょうね。
当時、旧大蔵省の政策として護送船団方式というのがあった。
邦銀は1行たりともつぶさないという政策です。
そうなると邦銀に対するクレジットリスクは存在しないのだという認識でどんどん貸し込んでいくことが出来たのです。
米銀の場合にはクレジットラインにお金がかかっちゃう。
社内的なものですけれど、クレジットラインを使うとコストとして認識されてしまう。
そうなるとトレーダーはなかなか気楽にクレジットラインを使わなくなりますね。
MS銀行が100億円、A銀行に貸したとします。
A銀行がつぶれちゃうとMS銀行の貸し金がパーになってしまいますよね。
ということで貸し金とは元本分100%リスクなんですね。
銀行間であろうと元本分100%のリスクがあるのです。
これは大きいリスクなんですよね。
ところで他の商品を考えてみましょう。
金利スワップ。
NK銀行がA銀行と5年の金利スワップ100億円をしたとします。
ところがA銀行がこけちゃった。
A銀行がこけたとしてもNK銀行の100億円はパーになりませんね。
100億円は想定元本ですからね。
A銀行、日本興業銀行はB銀行とスワップを組み直しますよね。
1年前、A銀行と8%の固定金利を受けるスワップをした。
金利が下がると予想したからです。
案の定、1年たって4年の固定金利が3%まで下った。
ところが、なんとA銀行がつぶれてしまった。
そうするとAがつぶれなければあと4年間8%もらえたのに、Aがこけちゃったおかげでリプレースしなくちゃいけなくなった。
Bと残り4年のスワップを組み直さなくてはいけない。
3%である。
あと4年間A銀行から毎年8億円、もらえるはずが、B銀行から毎年3億円しか入らなくなってしまった。
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